受験数学わんこらスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

行列の問題、東京大学2009年度理系前期の第2問の解説
今日も鼻水が止まらへんけど、そこをあえて東京大学2009年度理系行列の問題を解説します。


[問題]
090307_m1.jpg
実数を成分にもつ行列
A=(a b c d)
と実数r,sが下の条件(i),(ii),(iii)をみたすとする。

(i)s>1

(ii)A(r 1)=s(r 1)

(iii)A^n(1 0)=(x_n y_n)(n=1,2,…)とするとき、lim(n→∞)x_n=lim(n→∞)y_n=0

このとき以下の問に答えよ。

(1)B=(1 r 0 1)^(-1)A(1 r 0 1)をa,c,r,sを用いて表せ。

(2)B^n(1 0)=(z_n w_n)(n=1,2,…)とするとき、lim(n→∞)z_n=lim(n→∞)w_n=0を示せ。
(3)c=0かつ|a|<1を示せ。


(a b)の形に書いてるのは
a
b
って縦表示のベクトルで(a b c d)の形に書いてるのは
a b
c d
って行列って考えてくれ。


[解答と解説]
(1)
090307_m2.jpg
この(1)を解くときに、勉強して欲しいのが
A(e f)=(i j)
A(g h)=(k l)
って行列とベクトルをかけるとベクトルになりますが、この二つから

A(e g f h)=(i k j l)

と言うようにベクトルを並べて行列にできることです。

実際に計算したらわかります。


だから行列って言うのは、ベクトルが並んだものって解釈できてちゃんと別々に計算できます。

ついでに(e g f h)の行列式が0でないとeh-gf≠0ですが、これはベクトル(e f)と(g h)が一次独立の条件と同値になっていて、行列とベクトルの深い関係がわかると思います。


これがわかっていると

090307_m3.jpg

A(1 0)=(a b c d)(1 0)=(a c)

A(r 1)=(sr s)だったので

A(1 r 0 1)=(a sr c s)

とわかります。

Bを求めるには後は(1 r 0 1)の逆行列を左からかけるだけで
(1 r 0 1)の行列式は1だから逆行列は
(1 -r 0 1)で
B=(1 -r 0 1)(a sr c s)
=(a-rc 0 c s)

とわかりました。

こうやって行列については大学でも線形代数で詳しく習うこともあって博学であった方がお得です。


(2)
090307_m4.jpg
P=(1 r 0 1)とすると
B=P^(-1)AP
と表せますが、こうくると

B^n=(P^(-1)AP)^n
=P^(-1)A(PP^(-1))A(PP^(-1))A…(PP^(-1))AP
=P^(-1)A^nP
ってP^(-1)Pが次々単位行列Eになっていって消えて端だけ残る、この計算をやるのがだいたいお決まりです。

この(1),(2)の流れは、行列のn乗を求めるのに固有値と固有ベクトルを求めてn乗を求める方法があるんですが、それをよくやった人にはかなりやりやすい問題です。

出来ればそのやり方を知っていた方が行列に有利になるし、大学に入ってからも役に立ちます。

また次の回にも説明したいと思います。
2×2行列Aのn乗の求め方

それで問題に戻って
B^n(1 0)=P^(-1)A^nP(1 0)
=P^(-1)A^n(1 0)
=P^(-1)(x_n y_n)
=(x_n-ry_n y_n)

よって
z_n=x_n-ry_n
w_n=y_n
でこれで極限は
lim(n→∞)z_n=lim(n→∞)(x_n-ry_n)=0
lim(n→∞)w_n=lim(n→∞)y_n=0

(3)
090307_m5.jpg
これはちょっと難しいですが(1)(2)を利用すると解けるように作ってあると思われてB^nをa,c,r,sで表してB^n(1 0)の極限が(0 0)になるようにすれば恐らく求まると思われます。

だからα=a-rcとすると
B=(α 0 c s)
ですが、この形はn乗は求まります。

実際に計算して類推してみると

B=(α 0 c s)
B^2=(α^2 0 c(α+s) s^2)
B^3=(α^3 0 c(α^2+αs+s^2) s^3)

だから
B^n=(α^n 0 c(α^(n-1)+α^(n-2)s+…+αs^(n-2)+s^(n-1)) s^n)

と思われます。

これは帰納的に求まると書いたらいいと思いますが、一応丁寧に数学的帰納法で示しときました。

時間ない時は帰納的に求まるって書いたらいいと思います。

まあ東大は絶対時間足りないに決まってますが。

090307_m6.jpg

自然数nに対して
B^n=(α^n 0 c(α^(n-1)+α^(n-2)s+…+αs^(n-2)+s^(n-1)) s^n)
であることを数学的帰納法で示す。

(i)n=1の時、B=(α 0 c s)でそのままなので成立

(ii)n=jの時、B^k=(α^j 0 c(α^(j-1)+α^(j-2)s+…+αs^(j-2)+s^(j-1)) s^j)
と仮定すると
B^(j+1)=BB^j
=(α 0 c s)(α^j 0 c(α^(j-1)+α^(j-2)s+…+αs^(j-2)+s^(j-1)) s^j)
=(α^(j+1) 0 c(α^j+α^(j-1)+α^(j-2)s+…+αs^(j-2)+s^(j-1) s^j) s^(j+1))
でn=j+1の時も成立
(i)(ii)よりすべての自然数nに対して
B^n=(α^n 0 c(α^(n-1)+α^(n-2)s+…+αs^(n-2)+s^(n-1)) s^n)

c(α^(n-1)+α^(n-2)s+…+αs^(n-2)+s^(n-1))
=c(∑(k=1~n)α^(n-k)s^(k-1))
は等比数列なので足し算できますが、α=sの時は困るのでそれを否定してからでないと等比数列の足し算は使えません。

090307_m7.jpg

だから
B^n(1 0)=(α^n 0 c(∑(k=1~n)α^(n-k)s^(k-1)) s^n)(1 0)
=(α^n c(∑(k=1~n)α^(n-k)s^(k-1)))


z_n=α^n
w_n=c(∑(k=1~n)α^(n-k)s^(k-1))

lim(n→∞)z_n=0よりlim(n→∞)α^n=0
だから|α|<1です。

それでs>1だったからs≠αと言えるから等比数列の和を使って

w_n=c(s^n-α^n)/(s-α)

となって

lim(n→∞)w_n=0
より
c≠0とすると
lim(n→)|c(s^n-α^n)/(s-α)|=∞
となるからc=0

このときα=a-rcよりα=aで|a|<1です。

こういう数学3Cの分野である行列は定石が身についてるとそのまま点につながりやすいのでしっかり勉強して、ちゃんと得点をとっておきたいところです。

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