受験数学わんこらスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

2×2行列Aのn乗の求め方
今日は行列の講義でもしよか、うへ~。

まあ一回落ち着け。


大学受験の行列の問題ではAを2×2行列として固有値と固有値ベクトルとかを使ってA^n乗を求めるって言う方法が背景にある問題が結構多いねん。

だから今日はちょっとレベル的に大学の線形代数になってしまうところがあるけど、やり方を一回何となくでもいいから見てもらうことで問題が解きやすくなるようになってもらえればと思います。


まず、異なる二つの固有値を持つ2×2の行列Aのn乗の求め方をやります。

これはそれなりのレベルの人は高校生でも覚えてしまってオッケーです。

090308_m1.jpg

具体的に
A=(2 -2 1 5)の時,A^nを求めよ。

って問題をやります。

A=(a b c d)と書くと
a b
c d
の行列ことで(a b)と書くと
a
b
ってベクトルやと思ってください。


まずは固有値ってやつを求めます。

高校時代は固有値とか固有ベクトルとか微妙に出てくる問題集あって何のことかようわからんと思いますが、まあそこは深く考えずにまずはやり方を何となく見てください。

Aの固有値をt,固有ベクトルをx→=(x y)(x→≠0)とすると
Ax→=tx→

(A-tE)・x→=0

ここでA-tEにもし逆行列が存在するとこの左から逆行列をかけたら
x→=0
になって矛盾します。

だからA-tEの行列式が0って言うのが必要条件になります。

(A-tE)・x→=0

Δ(A-tE)=0

Δ(2-t -2 1 5-t)=0

(2-t)(5-t)+2=0

t^2-7t+12=0

(t-3)(t-4)=0

よりt=3,4です。

t^2-7t+12=0
の式はtをAに置き換えると
A^2-7A+12=0
これはハミルトンケーリーの定理になってることにも注意しといてください。
たまたま一緒になるんじゃなくて、実はこれが本当のハミルトンケーリーの定理です。


固有値はt=3,4と求まったところでそれぞれの固有値に対応する固有ベクトルを求めます。

090308_m2.jpg

t=3の時
(A-3E)(x y)=0
(-1 -2 1 2)(x y)=0

x=-2y

だから固有ベクトルの一つとして

(-2 1)

を適当に選んで

A(-2 1)=3(-2 1)…①

となります。

固有ベクトルはx=-2yから(-2t t)=t(-2 1)(tは任意の実数)と表せますが、こうやって(-2 1)とか適当に一つ定めます。


同じようにt=4の時
(A-4E)(x y)=0
(-2 -2 1 1)(x y)=0

x=-y
から
固有ベクトルを
(1 -1)として

A(1 -1)=4(1 -1)…②

と二つ求まりました。


この①と②を使って二つのベクトルの計算が一つの行列の計算で表せます。

090307_m2.jpg

行列はベクトルが並んだものと解釈できて別々に計算出来ていました。

090308_m3.jpg

①と②の場合は

A(-2 1 1 -1)=(3・(-2) 4・1 3・1 4・(-1))

って一つの行列の計算で表せます。
ベクトルを並べて行列を作るだけです。

行列の計算法則を考えると、ちゃんとこうなることはわかるんですが覚えておくと便利です。

それで右辺は

(3・(-2) 4・1 3・1 4・(-1))
=(-2 1 1 -1)(3 0 0 4)

と出来ます。

だからP=(-2 1 1 -1),B=(3 0 0 4)とあらわすと
AP=PB
と言う形になっています。

これでP^(-1)を右からかけて

A=PBP^(-1)

になります。
Pは必ず行列式は0にならなくて、逆行列は存在します。
(それぞれの固有値の対する固有ベクトルが一次独立だから)

この

A=PBP^(-1)

それでこれのn乗を考えます。

A^n=PBP^(-1)PBP^(-1)…PBP^(-1)
=PB(P^(-1)P)B(P^(-1)P)…(P^(-1)P)BP^(-1)
=PB^nP^(-1)

PとP^(-1)がちょうど単位行列Eになって消えていって端だけ残ります。

これもよく問題で出てるな。


でA^nを考える問題がB^nを考えたら良い問題になりましが、これで何がわかるかと言うと
B^n=(3 0 0 4)^n
=(3^n 0 0 4^n)

って簡単にn乗がわかります。


こういうことをするために固有値とか固有ベクトルとか求めるわけやねんな。

それで結局A^nは

A^n=PB^nP^(-1)
=(2・3^n-4^n 2・3^n-2・4^n -3^n+4^n -3^n+2・4^n)
と計算できました。


ここまでは高校生でもレベルは高いですが、覚えてしまっていても役に立ちます。

よくこれが背景にあるような受験問題が出ていて、このやり方が身についてると非常に解きやすくなり行列は得点源になります。
やっぱり東大や京大のような難しいところでは、勉強したなら解きやすい行列の問題で点数をとっておきたいとこやしな。


これは固有値が複素数の範囲でも同じです。

まあそんな問題は出ないと思いますが。


それでは固有値が一つのときはどうなるのか説明します。

これはさすがに全部は覚えなくていいですが、ところどころ使えるところはあるかもしれません。

090308_m4.jpg

例として
A=(2 1 -1 4)の時A^nを求めよ。

Aの固有値をt,固有ベクトルをx→=(x y)とすると(x→≠0)

同じようにしていって

Ax→=tx→

(A-tE)・x→=0

Δ(A-tE)=0

Δ(2-t 1 -1 4-t)=0

(2-t)(4-t)+1=0

t^2-6t+9=0

(t-3)^2=0

からt=3の一つしか値が出ません。

とりあえず固有ベクトルを求めて

(A-3E)(x y)=0

(-1 1 -1 1)(x y)=0

x=y
から固有ベクトルを
x→=(1 1)
と一つ適当にとります。

A(1 1)=3(1 1)…①

そしたらもう一つは、どうやったらいいのかと言うと

090308_m5.jpg

A(x y)=3(x y)+(1 1)

ってさっきの固有ベクトル(1 1)を足してみます。

本当は
(A-3E)(x y)=(1 1)
と言う形が普通やねんけど。


これを整理していくと

(-x+y -x+y)=(1 1)

y=1+x

だから

(1 2)と適当に選びます。

これは広義固有ベクトルとか言います。

もう完全に線形代数の領域やなこれは。
ほとんどの理系の学生はこんなん理解せんまま卒業していくような感じです。

それで
A(1 2)=3(1 2)+(1 1)…②

と言う形に表せました。

A(1 1)=3(1 1)…①

とあわせて、またこれを一つの行列の計算であらわします。

A(1 1 1 2)=(3・1 3・1+1 3・1 3・2+1)
=(1 1 1 2)(3 1 0 3)
ってなります。

P=(1 1 1 2)
とすると、これも必ず逆行列は存在していて

B=(3 1 0 3)

とすると

A=PBP^(-1)

と表せます。


090308_m6.jpg


また同じようにA^nを考えると

A^n=PB(P^(-1)P)B(P^(-1)P)…B(P^(-1)P)BP^(-1)
=PB^nP^(-1)

でA^nはB^nを考えたら良いことになりましたが最初のは
(3 0 0 4)のn乗でしたが今回は
(3 1 0 3)のn乗を考えます。

これはn=1,2,…って調べて数学的帰納法で証明とかが普通ですが、

(3 1 0 3)=(3 0 0 3)+(0 1 0 0)

と分解して

(0 1 0 0)^2=0

で二乗で0になってしまって

(3 0 0 3)^n=(3^n 0 0 3^n)

でしたが

(3 0 0 3)(0 1 0 0)=(0 1 0 0)(3 0 0 3)=(0 3 0 0)

って積は交換可能だから

S=(3 0 0 3)
N=(0 1 0 0)
とおくと、B=S+N,SN=NS,N^2=0で
B^n=(S+N)^n
=S^n+n_C_1・S^(n-1)N

って展開するとNの2次以上の項は0だから消えます。

だから
(3 1 0 3)^n=(3^n 3^(n-1)・n 0 3^n)
って計算できます。

これは高校入試にもちょっと使えるかもしれませんね。



最後にA^n=PB^nP^(-1)を計算すると

A^n=(3^n-3^(n-1)・n 3^(n-1)・n -3^(n-1)・n 3^n+3^(n-1)・n)

連立漸化式を使って高校生の知識でA^nを求めるには連立漸化式の解き方と例題と行列との関係とか一次分数式の漸化式の解法と例題と行列との関係を参照してくだい

高校数学の公式や問題の解説

数理物理




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