受験数学わんこらスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

積分の問題、東京大学2009年度理系第4問の解説
東京大学2009年度理系第4問、積分の問題を解説します。


[問題]
090310_m1.jpg
aを正の実数とし、空間内の2つの円板
D_1={(x,y,z)|x^2+y^2≦1,z=a}
D_2={(x,y,z)|x^2+y^2≦1,z=-a}
を考える。D_1をy軸の回りに180°回転してD_2に重ねる。ただし回転はz軸の正の部分をx軸の正の方向に傾ける向きとする。この回転の間にD_1が通る部分をEとする。Eの体積をV(a)とし、Eと{(x,y,z)|x≧0}との共通部分の体積をW(a)とする。

(1)W(a)を求めよ。

(2)lim(a→∞)V(a)を求めよ。


[解答と解説]
(1)
090310_m2.jpg
y軸の回りに180°回転させるので、y軸のある値の断面を考えてみます。

回転体の断面を考えるんじゃなくて、D_1,D_2の断面を考えて回転させた面積を考えるとわかりやすいです。


1-≦k≦1としてD_1,D_2のy=kの断面を考えると

x^2+k^2≦1,z=a

-√(1-k^2)≦x≦√(1-k^2),z=a



x^2+k^2≦1,z=-a

-√(1-k^2)≦x≦√(1-k^2),z=-a

の二つの線分になります。


この線分が断面図の原点Oからの距離が一番長くなるのはP(√(1-k^2),a)とすると長さOP=√(1-k^2+a^2)の時、一番短くなるのは原点から線分に垂線OHを下ろしてH(0,a)として長さOH=aの時だから、

この線分を原点を中心に180°回転させた図形でx≧0の部分はちょうど半径OP√(1-k^2+a^2)の半円から半径OH=aの半円を取り除いたような形になります。

だからD_1を180°回転させた図形とx≧0の共通部分であるW(a)のy=kでの断面図の面積をS(k)として

S(k)=(πOP^2-πOH^2)/2
=π(1-k^2)/2

だから
W(a)=∫(-1,1)S(k)dk
=π/2・[k-k^3/3](-1,1)
=2π/3

と言うようにたくさん数学3の問題をよくやっていれば一度やったような感じでスムーズにいけますが、W(a)とか言いながら2π/3ってaがありません。

これはオレでも、間違ってるんちゃうかな…?って心が折れます。


(2)
090310_m3.jpg
V(a)を求めるには、(1)でW(a)を求めさせられたからその差の部分の体積を求めたらいいわけです。

y=kでの断面の形は扇形から三角形を取り除いた部分の同じのが2個あるから、面積をT(k)として
扇形の中心角をθとすると

cosθ=a/√(1-k^2+a^2)
sinθ=√(1-k^2)/√(1-k^2+a^2)



T(k)=2×(扇形)-2×(三角形)
=2×θ(1-k^2+a^2)/2-2×a√(1-k^2)/2
=θ(1-k^2+a^2)-a√(1-k^2)

よって

V(a)-W(a)=∫(-1,1)T(k)dk

うん順調やな。
後はこれを計算して

090310_m4.jpg

∫(-1,1){θ(1-k^2+a^2)-a√(1-k^2)}dk

まず
-∫(-1,1)a√(1-k^2)dkは半径1の半円の面積考えて-πa/2

∫(-1,1){θ(1-k^2+a^2)dkの部分はkをθで置換していって

∫(-1,1){θ(1-k^2+a^2)dk=∫(-1,1)θa^2/(cosθ)^2dk

でk^2=1-(tanθ)^2a^2
だからk≧0の時
k=√(1-(atanθ)^2)

dk=-(a^2tanθ/(cosθ)^2)/√(1-(atanθ)^2)

ってやってたら解答用紙が数式だらけになって、もう時間なくなってきて消しゴムで何回も消したら
ビリ~!
破れて
終わった!何もかも終わった!うへ~
って試験会場で椅子とか倒しまくって暴れ出すことになります。

まあ一回落ち着け。


問題はlim(a→∞)V(a)を求めたらいいわけやから、∫(-1,1)T(k)dkではなく

lim(a→∞)∫(-1,1)T(k)dkを求めたらいいことになります。

これが意味することは、∫(-1,1)T(k)dkはたぶんまともに計算出来ないけど極限は計算できるってことやねん。

積分をある不等式で挟んで、その両側の極限をとって挟み打ちの原理を使います。

大学の数学科の解析学とかでは、このパターンをよくやることなんで今回ぜひこの解法パターンを覚えてください。

090310_m5.jpg

θがやっかいなので0<θ<π/2の時
θ<tanθ=√(1-k^2)/aだったから

0<∫(-1,1){θ(1-k^2+a^2)-a√(1-k^2)}dk
<∫(-1,1)(√(1-k^2))((1-k^2+a^2)/a-a)dk
=∫(-1,1)(√(1-k^2))((1-k^2)/a)dk
≦∫(-1,1)(1/a)dk(k=0の時(√(1-k^2))(1-k^2)が最大だから
=2/a→0(a→∞)

よって

lim(a→∞)∫(-1,1)T(k)dk=0
より
lim(a→∞)(V(a)-W(a))=0
だから
lim(a→∞)V(a)=2π/3

です。

これは大学の数学科の解析学ではかなりよくやるパターンなんですが、高校ではちょっと余りやったことが無いかもしれません。

-1≦k≦1の時、θ<tanθとか(√(1-k^2))(1-k^2)≦1とか使って

0<T(k)<1/a

ってかなり大雑把に不等式で挟んでk=-1から1まで積分して

0<V(a)-W(a)<2/a

ってやってa→∞を考えてるわけです。


そらT(k)≦∫(-1,1)(√(1-k^2))((1-k^2)/a)dkでやればもっと精度の良い不等式で挟めますが精度は関係なくて、1/aの定数倍ってaを∞にすると0になるような形にするのが目的なわけです。
だから計算が簡単になるほうがいいのでT(k)<1/aって不等式を作ってるわけです。

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