受験数学わんこらスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

ベクトルの問題、東京大学2009年度理系第6問の解説
まあ数学的に破門されたらなら納得いくけどな。

東京大学2009年度第6問のベクトルの問題の解説。



[問題]
090312_m1.jpg
090312_m2.jpg
平面上の2点P,Qの距離をd(P,Q)と表すことにする。平面上に点Oを中心とする一辺の長さが1000の正三角形△A_1A_2A_3がある。△A_1A_2A_3の内部に3点B_1,B_2,B_3を、d(A_n,B_n)=1(n=1,2,3)となるようにとる。また、
a_1→=A_1A_2→,a_2→=A_2A_3→,a_3→=A_3A_1→
e_1→=A_1B_1→,e_2→=A_2B_2→,e_3→=A_3B_3→
とおく。n=1,2,3のそれぞれに対して、時刻0にA_nを出発し、e_n→の向きに速さ1で直進する点を考え、時刻tにおけるその位置をP_n(t)と表すことにする。

(1)ある時刻tでd(P_1(t),P_2(t))≦1が成立した。ベクトルe_1→-e_2→と、ベクトルa_1→とのなす角度をθとおく。このとき|sinθ|≦1/1000となることを示せ。

(2)角度θ_1,θ_2,θ_3をθ_1=∠B_1A_1A_2,θ_2=∠B_2A_2A_3,θ_3=∠B_3A_3A_1によって定義する。αを0<α<π/2かつsinα=1/1000をみたす実数とする。(1)と同じ仮定のもとで、θ_1+θ_2の値のとる範囲をαを用いて表せ。

(3)時刻t_1,t_2,t_3のそれぞれにおいて、次が成立した。
d(P_2(t_1),P_3(t_1))≦1,d(P_3(t_2),P_1(t_2))≦1,d(P_1(t_3),P_2(t_3))≦1
このとき、時刻T=1000/√3において同時に
d(P_1(T),O)≦3,d(P_2(T),O)≦3,d(P_3(T),O)≦3
が成立することを示せ。

図↓
090312_m8.jpg


[解答と解説]
(1)
090312_m3.jpg

もうそのまんま機械的にベクトルでいつものように計算していくと

d(P_1(t),P_2(t))≦1

|A_1P_1(t)→-A_1P_2(t)→|≦1
ってA_1を始点にして

|te_1→-A_1A_2→-A_2P_2(t)→|≦1

|t(e_1→-e_2→)-a_1→|^2≦1
e_1→-e_2→とa_1のなす角度がθだから展開していくと

|e_1→-e_2→|^2t^2-2|a_1→||e_1→-e_2→|cosθt+|a_1→|^2-1≦0

これがあるtで成り立つから、これを満たすtが存在しなければならないから

|e_1→-e_2→|^2t^2-2|a_1→||e_1→-e_2→|cosθt+|a_1→|^2-1=0

の判別式をDとするとD≧0で

D/4=|a_1→|^2|e_1→-e_2→|^2(cosθ)^2-|e_1→-e_2→|^2(|a_1→|^2-1)≧0



|a_1→|^2(cosθ)^2-|a_1→|^2+1≧0



-|a_1→|^2(sinθ)^2+1≧0



(sinθ)^2≦1/|a_1→|^2



|sinθ|≦1/1000

って示せます。


ただ計算のややこしい東大の問題で計算で解決しようとするその精神が破壊を生むわけや。
いくらベクトルは機械的に計算出来るものとは言え、この(1)ではうまくいっても(2),(3)やるにはもっと図形的に考えて計算を簡単にしていかな、試験終了合図と同時に横の人にうおらー!!って消しゴムを思いっきり投げつけて怖がらせることになります。

やっぱり(2),(3)では図形を書いてみて、図形的に解決していくのがコツで計算が上手くいきやすくなります。

この(1)も図形的にやると

090312_m7.jpg

d(P_1(t),P_2(t))≦1

|t(e_1→-e_2→)-a_1→|^2≦1

でt(e_1→-e_2→)=A_1Q→となる点Qを考えると
|A_1Q→-A_1A_2→|≦1

|A_2Q→|≦1

だからA_2Qは1以下になるtが存在するってことになります。

それで△A_1A_2Qを書いてみるとA_2Qが最小になるような点Qの位置はA_2から直線A_1Qに垂線A_2Hをおろすと、QがHに一致する時より

A_2H≦1

となれば

A_2Q≦1

となるtが存在できて

A_2H=A_1A_2|sinθ|
=1000|sinθ|

だから

1000|sinθ|≦1



|sinθ|≦1/1000

とかなり計算が簡単に出来ます。

まあちょっとA_2Q≦1となるtが存在するにはA_2Qの最小値が1以下って言う考え方は難しいところはありますが、このやり方も大切なので覚えておいてください。

うへ~ってなった人は対偶のA_2Qの最小値が1より大きいとA_2Q≦1となるtは存在しないを考えると当たり前のことってことがわかります。

(2)
090312_m4.jpg
これもベクトルの計算でやると、どれぐらい凄まじいことになるのかその前に計算で出来るのかさえ不明ですが、
e_1→とe_2→とe_1→-e_2→の三角形の図を書いて、a→の補助線を入れておいて、|e_1→|=|e_2→|だから二等辺三角形の二つの底角が等しいことから式を立てるとθ_1+θ_2がθで表せます。
(1)をきっと使うはずってこと意識するとθで表そうと思えます。

(i)e_1→-e_2→がa→を反時計回りに回した向きにある時は、二つの底角は
θ_1-θ

(π/3+θ)-θ_2
だから
θ_1-θ=(π/3+θ)-θ_2
より
θ_1+θ_2=π/3+2θ

(ii)e_1→-e_2→がa→を時計回りに回した向きにある時は、二つの底角は
θ_1+θ

π/3-θ-θ_2
だから
θ_1+θ=π/3-θ-θ_2
より
θ_1+θ_2=π/3-2θ

(1)から|sinθ|≦sinαより-α≦θ≦α(正確には0≦θ≦αやけど)だから

π/3-2α≦θ_1+θ_2≦π/3+2α

ってわかります。


|sinθ|≦sinαからπ-α≦θとかならないか心配にはなりますが、θ≧π/2とすると(1000)=A1A2≦A_2Qで全然A_2Qが1以下にならないから

θ≧π/2とすると(1000)=A1A2≦A_2Qで矛盾

とか書いておくとより正確ですね。

まあほぼ自明なので書かなくても大丈夫なのかもしれませんが。


(3)
090312_m5.jpg
(2)をきっと使うはずなので

d(P_2(t_1),P_3(t_1))≦1,d(P_3(t_2),P_1(t_2))≦1,d(P_1(t_3),P_2(t_3))≦1

から

π/3-2α≦θ_1+θ_2≦π/3+2α…①

π/3-2α≦θ_2+θ_3≦π/3+2α…②

π/3-2α≦θ_3+θ_1≦π/3+2α…③

が出てきます。


ここで
d(P_1(T),O)≦3
をベクトルで計算しても出来なくもないんですが、ずっと書いてるように図形的に考えるのがコツで

A_1Oは正三角形A_1A_2A_3の中線の長さは(1000√3)/2で、A_1Oはその2/3だから
A_1O=1000/√3
になります。
また
AP_1(T)=T=1000/√3
だから△AOP_1二等辺三角形になります。

d(P_1(T),O)であるOP_1の長さが3以下の条件を考えるには後は∠OA_1P_1を考えたら良さそうですが、ここの角度は∠A_2A_1O=π/6で∠A_2_A_1P_1=θ_1から
|θ_1-π/6|
になってます。

①,②,③からこの範囲を出して
d(P_1(T),O)=2OAsin((θ_1-π/6)/2)

が3より小さいことを示す方針がたってきます。

それには
①+③すると

2π/3-4α≦2θ_1+θ_2+θ_3≦2π/3+4α

だから後は②を引いたらいいから

-π/3-2α≦-θ_2-θ_3≦-π/3+2α

より

①+③-②:

π/3-6α≦2θ_1≦π/3+6α



π/6-3α≦θ_1≦π/6+3α

って範囲が出てきます。

090312_m6.jpg
だから

d(P_1(T),O)=2OAsin((θ_1-π/6)/2)
=(2000/√3)sin((θ_1-π/6)/2)
≦(2000/√3)sin(3α/2)
<(2000/√3)sin(2α)
(αはsin(π/6)=1/2より明らかにπ/6よりはるかに小さいから2α<π/3<π/2だから
sin(3α/2)<sin(2α))
=(4000/√3)sinαcosα
<(4000/√3)・(1/1000)・1
(sinα=1/1000,cosα<1なので)
=4/√3
=(√48)/3
<(√81)/3=3

でd(P_2(T),O),d(P_3(T),O)も同様に示せるから、これで証明できました。

よく東大はこういう無理数をごちゃごちゃ計算させて不等式を証明させたがりますね。


θ_1の範囲を出すには、対称性のある式でよくやるのが(①+②+③)/2

π/2-3α≦θ_1+θ_2+θ_3≦π/2+3α…④

って出してから

④-②:

π/6-5α≦θ_1≦π/6+5α

って出ますが、等式ではなく不等式なのでこうやると若干精度が落ちます。

(①+③-②)/2は

π/6-3α≦θ_1≦π/6+3α

だから2α分くらい精度が落ちます。


でも5αの方でも示せます。


d(P_1(T),O)≦3をベクトルでごり押し計算すると

cos(θ_1-π/6)≧1-27/(2×1000^2)

って式が出てくるからπ/6-5α≦θ_1≦π/6+5αから

cos(θ_1-π/6)≧cos(5α)

より
cos(5α)≧1-27/(2×1000^2)

を示したらいいことになります。
五倍角とか使って

sin(5α)=16(sinα)^5-20(sinα)^3+5sinα

=16/(1000^5)-20/(1000^3)+5/1000

<5/1000

だから

(cos(5α))^2=1-(sin(5α))^2
>1-25/1000^2

だから

(1-25/1000^2)-(1-27/(2×1000^2))^2
=2/1000^2-27^2/(4×1000^4)>0

より

cos(5α)>√(1-25/1000^2)>1-27/(2×1000^2)

って示せます。


ここでのポイントは1/1000と1/1000^2とかは大きさが全然違うって言うことを使ってるから実は全然細かい計算は不要になってます。

xがもの凄い小さいと次数がx^2以上の項は無視出来るみたいな考え方です。


まあ五倍角なんか覚えてる奴はあんまおらんやろうけど、何とか公式を導き出して使えば証明できる範囲です。

まあでもこの計算ごり押しのやり方でも
π/6-3α≦θ_1≦π/6+3α
でやれば3倍角なのでかなり楽になると思います。
不等式は足し方、引き方で精度が悪くなったりすることも覚えておくと良いと思います

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