受験数学わんこらスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

東京大学2009年度後期の総合科目Ⅱの第二問のAの解説
だいぶん寒くなってきたと思ったら、消しゴム落とした感じやな。


東京大学2009年度後期総合科目Ⅱの第2問のAの解説です。
[問題]

時間によって移動する点の動きなど、連続的に変化する現象を調べるときには、現象を表す関数の値を数列によって近似して、離散的なモデルを考えることができる。これらを対照して考察することや、連続的な現象を離散的なモデルの極限としてとらえることは、しばしば有効である。

090605_m1.jpg
090605_m2.jpg

A,数列{a_n}に対して、b_n=a_(n+1) - a_n, n=1,2,…とおく。数列{b_n}は
b_(n+1)=b_n+1/(a_n)^2, n=1,2,…
を満たすとする。またa_1=1,b_1=1とする。

(A-1)n=1,2,…について
a_n≧n
が成立することを示せ。

(A-2)すべての自然数nについて、
Σ(k=1~n)1/k^2<2
を示せ。

(A-3)
a_n≦3n-2
となることを示せ。


数直線上を運動する点Pの座標を時間tの関数としてx=f(t)で表す。ただし、t≧0とする。点Pの速度v(t)=f'(t)について
v'(t)=1/f(t)^2
が成立するとする。また、f(0)=1,v(0)=1とする。ここでf(t),v(t)は微分可能な関数であるとする。

(A-4)不等式
f(t)≧1+t
が成り立つことを示せ。

(A-5)f(t)≦1+2t-log(1+t)
を示せ。ただし、log(1+t)は自然対数を表す。



[解答と解説]
(A-1)
連続的に変化する現象とか、離散的なモデルとかわけわからんことかいてますが、白目むきながらあほみたいな顔して読み流してください。

090605_m3.jpg

この漸化式を解こうとすると、17分後くらいに

ぶほー!

って耳から血だして倒れます。


こういうのは数学3の極限の問題でたまに、大学の1年で習う微積分の問題ではよくありますが、漸化式を解くんではなくて漸化式のまま扱って証明します。

2つの漸化式からb_nを消去してしまったらいいんですが、b_nはa_nの階差数列であることを考えると和をとるとa_nになるってことを考えると、きれいに解くためにそのままでやってます。

何らかの不等式がないと困るんですが、

b_(n+1)=b_n+1/(a_n)^2

b_(n+1)-b_n=1/(a_n)^2>0

って1/(a_n)^2が正であることを使います。
これは、漸化式のまま扱って不等式を作るときによくあります。
大学で演習問題なんかやってきてるとすぐに思いつくんですが、ただ高校数学ではあまりこんなことしないから難しいかもしれません。

b_(n+1)>b_n

{b_n}は{a_n}の階差数列だから、和をとってまうとb_nの式になります。

Σ(k=1~n)b_(k+1)>Σ(k=1~n)b_k

a_(n+2)-a_2>a_(n+1)-a_1

ここでa_2の値が必要になるから、
b_n=a_(n+1) - a_n,
b_(n+1)=b_n+1/(a_n)^2
n=1を代入してa_2=2と求めといて

a_(n+2)-a_(n+1)>a_2-a_1=2-1=1

とわかります。
もうここまでこれば、差が1より大きいからa_n≧nが見えてきました。
これも階差数列だから和をとると早くて

Σ(k=1~n)(a_(k+2)-a_(k+1))>Σ(k=1~n)

a_(n+2)-a_2>n

a_(n+2)>n+2

これでn≧3については
a_n>n
なことは示せました。
後はa_2=2,a_1=1だからすべてのnで
a_n≧n
と証明できました。

(A-2)
090605_m4.jpg

これは特に大学1年の微積では有名な不等式で証明の仕方は覚えてしまってください。
文系に覚えろって言うのは酷な話かもしれませんが。

一つの方法は
k≧2では
k>k-1⇔1/k<1/(k-1)
は当たり前ですが、これを使って
Σ(k=1~n)1/k^2<1+Σ(k=2~n)1/(k(k-1))

こうすることでΣ(k=2~n)1/(k(k-1))は計算できてまいます。

これは、部分分数にすると階差数列ですぐに和が計算できるってやつです。

Σ(k=1~n)1/k^2<1+Σ(k=2~n)1/(k(k-1))
=1+Σ(k=2~n)(1/(k-1)-1/k)
=1+1-1/n
=2-1/n<2

だからΣ(k=1~n)1/kはn→∞では発散するけど、Σ(k=1~n)1/k^2は2未満だから発散せずに収束することがわかります。

階差数列はこんな凄いことが簡単に証明できるねんな。

ついでにπ^2/6に収束します。
参考→因数定理と三角関数から円周率が求まる直感的なおはなし
別に高校ではこんなん覚えなくてええねんけどな。

それともう一つの解答も覚えて欲しいねんけど、y=1/x^2のグラフを考えて不等式を作って積分するやり方です。
減少関数だから
k-1≦x≦kで
1/k^2≦1/x^2
ってなっていて
Σ(k=1~n)1/k^2≦1+∫(1,n)1/x^2dx
=1+[-1/x](1,n)
=2-1/n<2

0から積分すると発散するからk=1だけそのまま足して、x=1からの積分にするのがコツです。

この積分を使った方法ならΣ(k=1~n)1/k^sでn→∞の極限を考えたときの
s≧1では発散
s<1で収束
が簡単に示せます。

まあ理系の人はって話やけどな。


(A-3)
090605_m5.jpg

(A-1)でa_n≧n、(A-2)でΣ(k=1~n)1/k^2<2を証明しましたが、

1/(a_n)^2

の部分にこれが使えそうです。
だから
b_(n+1)-b_n=1/(a_n)^2≦1/n^2

でこれを和をとって左辺も階差数列だからすぐに計算できて

Σ(k=1~n)(b_(k+1)-b_k)≦Σ(k=1~n)1/k^2<2

より

b_(n+1)-b_1<2

b_(n+1)<3

さらに{b_n}は{a_n}の階差数列だったから和をとると{a_n}の式になるから

Σ(k=1~n)b_(k+1)<Σ(k=1~n)3

a_(n+2)-a_2<3n

a_(n+2)<3n+2=3(n+2)-4<3(n+2)-2

これでn≧3については
a_n<3n-2
が言えて、a_2=2<3・2-2,a_1=3・1-2
だかすべての自然数nで
a_n≦3n-2
と証明できました。

(A-4)
090605_m6.jpg

別にこれはそんなに何も問題がないと思いますが、ただ文系は微分の問題演習不足で出来ないのが問題やと思います。

これもf(t)を求めるんじゃなくて、与えられた条件や式からf(t)のまま扱って証明する類です。
こういう問題をやったことあるかどうかってとこやな。

g(t)=f(t)-(1+t)
とおいてg(t)≧0を証明します。
まず微分して
g'(t)=f'(t)-1=v(t)-1
これだけじゃようわからんから、もっかい微分して
g''(t)=v'(t)=1/f(t)^2>0

だからg'(t)は増加関数より
g'(t)≧g'(0)=v(0)-1=0

だからg(t)は増加関数より
g(t)≧g(0)=f(0)-1=0

よって
g(t)≧0

f(t)≧1+t


(A-5)
まったく同じように
h(t)=1+2t-log(1+t)-f(t)とおいて
h'(t)=2-1/(1+t)-f'(t)
=2-1/(1+t)-v(t)

h''(t)=1/(1+t)^2-1/f(t)^2≧0
(A-4)からf(t)≧1+tを使ってます。

だからh'(t)は増加関数で
h'(t)≧h'(0)=2-1-v(0)=0

h(t)は増加関数で
h(t)≧h(0)=1-log(1)-f(0)=0

f(t)≦1+2t-log(1+t)


実は階差数列の正負でa_nの増減がわかるから微分と対応していて

a_nの階差数列をb_n
f(t)の微分をv(t)

さらにb_(n)の階差数列であるb_(n+1)-b_nが1/(a_n)^2
v(t)をさらに微分したのがv'(t)=1/f(t)^2

と言うように対応していて

確かに離散的モデル(数列a_n)と連続的に変化する現象(連続関数f(t))を対照させて問題を解かされてました。
まあそんなこと解くのとは全然関係ないねんけどな。

だから、そんなに惑わされずに軽く読み流して問題を解いたらええねん。

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