受験数学わんこらスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

一次分数式の漸化式の解法と例題と行列との関係
漸化式もいよいよもうこれ以上は無理って言う領域に達してきたな。

今回は一次分数式の漸化式の解き方を説明していきたいと思います。


まず簡単なのから。

○a_(n+1)=pa_n/(qa_n+r)

090812_m1.jpg

実際受験には一次分数式の漸化式はこれくらいしか使わないことも多いけど、これは逆数をとります。

一応a_n≠0(n=1,2,3,…)を示しておきましょう。
示しかたは数学的帰納法で厳密にやるのが確実かもしれませんが、あるnでa_n=0となったすると、漸化式からa_(n-1)=0,a_(n-2),…,a_1=0って次々0になって、だいたいa_1=2とか定義されてますがa_1の値で矛盾します。
だからa_n≠0ってやったらいいと思います。

それで両辺の逆数をとって

1/a_(n+1)=(qa_n+r)/pa_n
=q/p+r/p・1/a_n
として数列{1/a_n}を考えたらa_(n+1)=pa_n+qの型になってます。

まあでも串刺し坊やでもわかるくらいやから、なれてたら思いつく範囲ではあるけどな。


さてさっそく例をいきましょう


a_(n+1)=2a_n/(3a_n+4),a_1=1
{a_n}を求めよ。

090812_m2.jpg

逆数とるためにa_nが0でないことを示しておいて
あるnでa_n=0となったとすると
a_(n-1)=0,a_(n-2)=0,…,a_1=0となりa_1=1に矛盾
よってa_n≠0(n=1,2,3,…)

a_(n+1)=2a_n/(3a_n+4)

1/a_(n+1)=3/2+2/a_n

090812_m3.jpg

これを解くには計算用紙に、1/a_(n+1)と1/a_nをxとおいた式を書いて
x=3/2+x
解くとx=-3/2だから
1/a_(n+1)=3/2+2/a_n
x=3/2+x
を辺々ひいて
(1/a_(n+1)-x)=2(1/a_n-x)

よって解答には
1/a_(n+1)=3/2+2/a_n

(1/a_(n+1)+3/2)=2(1/a_n+3/2)
{1/a_n+3/2}は公比2の等比数列より
1/a_n+3/2=(1/a_1+3/2)2^(n-1)
=5/2・2^(n-1)

a_n=1/(5/2・2^(n-1)-3/2)
=2/(5・2^((n-1)-3)


そしたらもっと一般的な場合の解き方を説明したい思います。

○a_(n+1)=(pa_n+q)/(ra_n+s)…[1]

090812_m4.jpg

いきなりやけどa_nとa_(n+1)をxとおいた式を考えます。
そんなあんまりxと置かれると変な気分になっちゃう…って言いたくなる気持ちはわかるけどとりあえず考えてみてください。

x=(px+q)/(rx+s)…[2]

⇔rx^2+(s-p)x-q=0…[3]

この[3]の二次方程式を解いたらxの値が出るねん。

それでこれを考えると、今までの漸化式と同じよう[1]と[2]を辺々引いて計算すると

a_(n+1)-x=(ps-qr)(a_n-x)/((rk+s)(ra_n+s))

ってなるねん。
上手いことa_(n+1)-xとa_n-xの形が出て来るねんな。
だからこれで逆数をとると{1/(a_n-x)}の漸化式になって解けるねんけど、xの値が二つ出た時は二つ式が出ることを利用しても解けます。

ちなみにa_n=xとかps-qr=0となったら、a_(n+1)=xとかなって全部一定の値の簡単な漸化式になるから、そうでない場合をここでは考えます。

090812_m5.jpg

(i)[3]が異なる2解α,βを持つ時

a_(n+1)-α=(ps-qr)(a_n-α)/((rα+s)(ra_n+s))

a_(n+1)-β=(ps-qr)(a_n-β)/((rβ+s)(ra_n+s))

って二つ式が出来て辺々割ると

(a_(n+1)-α)/(a_(n+1)-β)={(rβ+s)/(rα+s)}・{(a_n-α)/(a_n-β)}

だから数列{(a_n-α)/(a_n-β)}は公比(rβ+s)/(rα+s)の等比数列になって解けます。

(ii)[3]が重解αを持つ時

一つしか値はでませんが
a_(n+1)-α=(ps-qr)(a_n-α)/((rα+s)(ra_n+s))
逆数をとって
1/(a_(n+1)-α)=(rα+s)(r(a_n-α)+rα+s)/((ps-qr)(a_n-α))
=r(rα+s)/(ps-qr)+(rα+s)^2/(ps-qr)・1/(an-α)

で数列{1/(a_n-α)}を考えたらa_(n+1)=pa_n+q型になって解けます。
でもこれpのとこ、つまり(rα+s)^2/(ps-qr)は重解を持つとき1になるねんな。
だから実は等差数列になってます。


なんか、今ぱっと見たら何人がぶほー!って血吐いて倒れてるけど文字で抽象的に書いてるからややこしくなってるだけで、実際具体的な数字でやるとそんなややこしいもんではありません。

まあ実際に例をやってみるか。

例,a_(n+1)=(7a_n-6)/(a_n+2),a_1=1
{a_n}を求めよ。

090812_m6.jpg

解答
まず計算用紙にでもa_(n+1)とa_nをxとおいた式を考えて
x=(7x-6)/(x+2)
⇔x^2-5x+6=0
⇔(x-2)(x-3)=0
よりx=2,3で
a_(n+1)-2を計算してみると
a_(n+1)-2=(7a_n-6)/(a_n+2)-2
=5(a_n-2)/(a_n+2)

a_(n+1)-3を計算してみると
a_(n+1)-3=(7a_n-6)/(a_n+2)-3
=4(a_n-3)/(a_n+2)

090812_m7.jpg

だから解答は

a_(n+1)=(7a_n-6)/(a_n+2)

a_(n+1)-2=5(a_n-2)/(a_n+2)…[1]
a_(n+1)-3=4(a_n-3)/(a_n+2)…[2]

[1]/[2]を考えたいとこやけど、一応a_n≠3であることを言っておかないと0で割ることになるから

あるnでa_n=3となったとすると、a_(n-1)=3,a_(n-2)=3,…,a_1=3となりa_1=1に矛盾。
よってa_n≠3(n=1,2,3,…)

[1]/[2]:(a_(n+1)-2)/(a_(n+1)-3)=5/4・(a_n-2)/(a_n-3)

{(a_n-2)/(a_n-3)}は公比5/4の等比数列
よって
(a_n-2)/(a_n-3)=(a_1-2)/(a_1-3)・(5/4)^(n-1)
=1/2・(5/4)^(n-1)

a_n=(4^n-3・5^(n-1))/(2・4^(n-1)-5^(n-1))


と言うように実際解くのはそんなに難しいわけではないねんな。

じゃあ今度は重解になる例を書きます。

例,a_(n+1)=(6a_n-4)/(a_n+2),a_1=1
{a_n}を求めよ。

090812_m8.jpg

解答
まず計算用紙にa_(n+1)とa_nをxとおいた式を考えて
x=(6x-4)/(x+2)

(x-2)^2=0

x=2

だから
a_(n+1)-2=(6a_n-4)/(a_n+2)-2
=4(a_n-2)/(a_n+2)

と計算しておいて解答には
a_(n+1)=(6a_n-4)/(a_n+2)

a_(n+1)-2=4(a_n-2)/(a_n+2)

090812_m9.jpg

逆数をとりたいから
あるnでa_n=2となったとすると
a_(n-1)=2,a_(n-2)=2,…,a_1=2となりa_1=1に矛盾
よってa_n≠2(n=1,2,3,…)
だから逆数がとれて
1/(a_(n+1)-2)=(a_n+2)/(4(a_n-2))
=(a_n-2+4)/(4(a_n-2))
=1/4+1/(a_n-2)

{a/(a_n-2)}は公差1/4の等差数列

1/(a_n-2)=a_1+(n-1)・1/4
=(n-5)/4

a_n-2=4/(n-5)

a_n=(2n-6)/(n-5)


ちなみに漸化式で毎回のように書いてますが、a_(n+1)=(pa_n+q)/(ra_n+s)で
x=(px+q)/(rx+s)
を考える意味は、a_1を定めないとa_(n+1)=(pa_n+q)/(ra_n+s)には無数に解があるけどそのうちの一つ簡単に求められるのがすべてのnでa_n=xとなるもので
x=(px+q)/(rx+s)
を解いたらxの値がわかります。

これを特殊解がいいますが、これを求めると
a_(n+1)=(pa_n+q)/(ra_n+s)と
x=(px+q)/(rx+s)
を辺々引くと上手いこと一般解が求まります。


ここから、ちょっとマニアックな世界に入ってくるけど

090812_m10.jpg

x=(px+q)/(rx+s)⇔rx^2+(s-p)x-q=0
と言う式を考えてこの解をα,βとすると
{(a_n-α)/a_n-β}は公比(rβ+s)/(rα+s)やけど、このrβ+sと,rα+sが解になるような二次方程式は
t=rx+sを考えてrx^2+(s-p)x-q=0に代入すると
t^2-(p+s)t+(ps-qr)=0
って式になります。

これ見覚えないかな?

そうこれは連立漸化式の解き方のとこでも同じ式が出てきました。
行列
p q
r s
の固有多項式です。

なんで行列がでるんやろ?連立漸化式とあんま関係ないようなって目隠しされて縛られて何をされてるかわからない気分になりますが、これには理由があって

A=
a b
c d

B=
p q
r s

って二つの行列があったとして、それらの行列に対して
f_A(x)=(ax+b)/(cx+d)
f_B(x)=(px+q)/(rx+s)
と一次分数を対応させます。

一次分数変換とかメビウス変換とか言うねんけどな。

それでf_B(x)にさらにf_Aを作用させると

f_A(f_(B)(x))=(af_B(x)+b)/(cf_B(x)+d)
=((ap+br)x+aq+bs)/((cp+dr)x+cq+ds)

でこれは
AB=
ap+br aq+bs
cp+dr cq+ds
だから
((ap+br)x+aq+bs)/((cp+dr)x+cq+ds)
=f_AB(x)

つまり
f_A(f_(B)(x))=f_AB(x)
が成り立ちます。

ほんま数学って良くできてるなって感じやな。

xにf_B作用させてからf_Aを作用させることは、xにABに対応してる変換f_ABを作用させることになってるねん。

090812_m11.jpg

だから
a_(n+1)=(pa_n+q)/(ra_n+s)
f_B(a_n)
やから
a_n=f_B(a_(n-1))=f_B^2(a_(n-2))=…
=f_B^(n-1)(a_1)

で{a_n}を求めると言うことは
B^nを求めることと同じになってるねん。
だから固有多項式とかも出て来るねんな。

B^n=
p_n q_n
r_n s_n
とか求まっていたら
a_n=(p_(n-1)a_1+q_(n-1))/(r_(n-1)a_1+s_(n-1))
ってわかるねん。

だから一次分数式の漸化式も連立漸化式と同じで結局行列のn乗の計算をしていることになります。
反対に言えば、これ使ったら高校生でも行列のn乗って求まりますね。

その行列のn乗を計算する方法は
2×2行列Aのn乗の求め方にまとめてるから興味あればみたってくれ。

高校数学の公式や問題の解説




テーマ:算数・数学の学習 - ジャンル:学校・教育

▲ページトップへ
この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://kazuschool.blog94.fc2.com/tb.php/349-d502e0a2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
▲ページトップへ
プロフィール

わんこら

Author:わんこら
京都大学理学部で数学と物理を勉強し、数学を専攻しました。
東京で数学と物理の講師やってます

わんこら日記で日記とか勉強の仕方とか書いています

わんこら式数学の勉強法

メール
迷惑メールにされる危険性があるので出来るだけ
kazuyuki_ht○guitar.ocn.ne.jp
(○を@にしてください)に送ってください
勉強とかでどんな悩み持ってるかなど色々と教えてくれると嬉しいです。
わんこら式のやり方についてのメールはわんこら式診断プログラムを参考にしてください

詳しいプロフィール

人気blogランキングへ



にほんブログ村 受験ブログへ



学生広場

相互リンクも募集してます。

何かあれば
kazuschool_ht★yahoo.co.jp
かメールフォームからメールください。
(★を@にしてください)

カテゴリー

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター

リンク

このブログをリンクに追加する

お勧めの参考書、ノート

数学でお勧めのノートは
KOKUYOの無地
理由




センター試験は過去問が大切


チャートが終わったらお勧め
大学への数学1対1シリーズ
数学1


数学A


数学2


数学B


数学3


数学C

月別アーカイブ

ブログ内検索

RSSフィード

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

  1. 無料アクセス解析