受験数学わんこらスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

(京大理系乙)Aを2次の正方行列とする。列ベクトルx0→に対し、列ベクトルx1→,x2→,…をxn+1→=Axn→ (n=0,1,2,…)によって定める。ある零ベクトルで…
最近ちょっとあれやから、また戻って京大の問題に戻りたいと思います。
2007年の理系乙です。



以下、
a^nはaのn乗
x→はベクトルを表す


[問題]
080617_1.jpg

Aを2次の正方行列とする。列ベクトルx0→に対し、列ベクトルx1→,x2→,…を
xn+1→=Axn→ (n=0,1,2,…)
によって定める。
ある零ベクトルではないx0→について、3以上の自然数mで初めてxm→がx0→と一致するとき、行列A^mは単位行列であることを示せ。





[解答・解説]
この問題はちょっと解決の糸口は掴みづらいと思います。
受験生でこれを30分くらいで解ける奴がいるのかどうか…

いたら、その人は凄いですね。


まず行列だからハミルトン・ケーリーをつかってみると、解答中にクシャミして解答用紙が濡れてもて、シャーペンで書いた時にそこが破れて困ることになります。


A^mが単位行列であることを示さなければならないのに
A^2-(a+d)A+(ad-bc)E=0
ではa,d,b,cはAの成分なのでこれで何かを出すってのは難しそうです。
かと言って
A^2m-(a+d)A^m+(ad-bc)E=0
だからA^m使っても、なんかちょっと先が見えません。


よく考えるとA^mがEってことは、結局あるx0→で
A^mx0→=x0→
となれば、どんな列ベクトルx→に対しても
A^mx→=x→
となるはずです。

と言うことは、ax^2+bx+c=0がx=3,5,9のように異なる3つ以上のxで成り立つなら
a=b=c=0となるのと同じように

A^mx→=x→(⇔(A^m-E)x→=0)
となるような異なる列ベクトルが何個かあればA^m=Eと示せるのではないかって思いませんか?

そんなん聞かれても困るけどな。


とりあえずx0→以外にA^mx→=x→を満たす列ベクトルは無いか考えてみましょう。


こういうときはまずは絵を描いてみましょう。
いや、もっとこんなごちゃごちゃ考える前に出来れば最初に書いてください。
図形問題でもないのに絵を描くのは難しいですが、問題を知るためにぜひやってみてください。
080617_2.jpg

こうやって列ベクトルの列があって、Aをかけていくと、m個で一周して同じ列を繰り返すわけです。
と言うことは
A^mx1→=x1→
A^mx2→=x2→

となることがわかります。
と言うより、よく考えたら当たり前ですが列ベクトルは全部A^mx→=x→を満たしますね。

mは3以上なので少なくともx1→とx2→はx0→と異なる列ベクトルです。

これでだいぶん方針がたってきました。

連立方程式の観点から言えばAの成分は4つで
A^mx0→=x0→
A^mx1→=x1→
の二つで四つの方程式が出来るから解けるはずです。

実際にごちゃごちゃとやってみましょう。
080617_3.jpg

適当に消去すると
(ad-bc)y=0
(ad-bc)z=0
が出るので、どうもad-bcが0かどうかで場合分けするようです。

このad-bcが0ってことはx0→=(a,c)とx1→=(b,d)が平行ってことです。
x0→=(a,c)とx1→=(b,d)が平行⇔x0→=(a,c)とx1→の法線ベクトルx1→=(d,-b)が垂直
⇔(a,c)・(d,-b)=ad-bc=0

ad-bcが0でないときは平行でない時です。


080617_4.jpg

ad-bc≠0の時は、y=z=0とすぐわかって代入すると
ax=a,bx=b,cw=c,dw=w
が出ますが、ad-bc≠0からaもbも両方0ってことは無いので
ax=a,bx=bからx=1とわかります。
同じようにw=1とわかります。
これでA^mが単位行列であることが示せました。

またad-bc=0つまりx0→とx1→が平行の時は、この連立方程式では解けないので元の式に戻って
x1→=kx0→となる実数kが存在するとして
Ax0→=x1→=kx0→
だから
A^mx0→=k^mx0→
です。
これでx0→は零ベクトルではなかったから、k^m=1でk=±1ですが
k=1はx1→=x0→だから矛盾してて
k=-1はx2→=k^2x0→=x0→でこれも矛盾です。
ここでm≧3が効いています。


と言うように、なんか解いてる感じでは簡単な連立方程式とかを処理してるだけでかなり簡単ですが、実際試験会場でこれを解くとなるとかなり厳しいもんがあるかもしれません。


ところでad-bcって何かめちゃめちゃ見覚えがあると思いませんか?

そうです、これは逆行列を使う時によく出てきます。


そうですって別に誰も答えてませんが。



そもそも行列には連立方定式を一般的に扱うものと言う要素があります。
実は
A^mx0→=x0→
A^mx1→=x1→
の式から、x0→とx1→そのまま横に並べた行列をBとするすと
AB=B
と言う式が成り立ちます。
行列は、ベクトルを並べたもんと言う見方が出来ます。
080617_5.jpg


本当に並べていいのかどうかも、一応自分でも計算してみください。
080617_6.jpg



さすがに受験生にこれを使えって言うのは酷ですが、知ってると大学でも役に立つし損は無いと思います。
これを使うともっと平行でない時は簡単に綺麗に示せます。
x0→とx1→が平行ではない⇔ad-bc≠0⇔Bが逆行列を持つ
と言うベクトルと行列の深い関係があるのがわかります。
080617_7.jpg



高校数学の問題と解説

京都大学の入試の数学の過去問の解説




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